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政府は憲法に違反する法律を制定することができる

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 次の条文を見てください。悪名高きナチスの全面委任法の第2条です。この法律は、ナチス突撃隊(SA)や親衛隊(SS)が国会議事堂(臨時)をとりかこみ、多くの野党議員を院外に排除するなか、1933年3月23日に可決、制定されました。

 「全権委任法第2条、ドイツ政府によって制定された法律は、国会および第二院の制度そのものにかかわるものでないかぎり、憲法に違反することができる。(略)」

 この法律の制定によって、当時、世界でもっとも民主的だったワイマール憲法はその機能を停止し、ドイツ議会制民主主義と立憲主義も消滅したとされます。その後のドイツは民主主義国家でも、法治国家でもなくなってしまったのです。

「政府は憲法に違反する法律を制定することができる」

 これをやったら、もちろんどんな国だって滅ぶに決まっています。しかし日本の場合は、米軍基地問題をきっかけに憲法が機能停止状態に追いこまれ、「アメリカの意向」をバックにした官僚たちが平然と憲法違反をくり返すようになりました。言うまでもなく憲法とは主権者である国民から政府への命令、官僚をしばる鎖。それがまったく機能しなくなってしまったのです。

「「法律が憲法に違反できる」というような法律は、いまはどんな独裁国家にも存在しない」

 というのが、世界の法学における定説だそうです。

 しかし、現在の日本における現実は、ナチスよりもひどい。法律どころか、「官僚が自分たちでつくった政令や省令」でさえ、憲法に違反できる状況になっているのです。