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地域活性化の成功例 『そうだ、星を売ろう』【経済本おすすめ】

そうだ、星を売ろう  「売れない時代」の新しいビジネスモデル

温泉旅館で働く新人・諸星明は、衰退する温泉郷の立て直しに挑戦する。

しかし周囲は無関心。

過去の成功体験が忘れられない反対派もいる逆風のなか、諸星と数人の仲間で始めた「ディズニーを超える」という挑戦は、「売れない時代」の新しいビジネスモデルを創りあげていく。

ヒトなし、カネなし、モノなしの限られた状況の中、諸星は新規事業を成功できるのか?

長野県・阿智村で実際に起きた実話に基づくビジネス物語。
ジョン・P・コッターの「企業変革の8ステップ」を中心に、ダニエル・ピンク『モチベーション3.0』、ジェイ・B・バーニーの『企業戦略論』、『ゼロ・トゥ・ワン』『アダプト』『リーンスタートアップ』『競争優位の終焉』など最新ビジネス理論を網羅した、ストーリーで「企業変革」が学べる1冊。

「そうだ、星を売ろう」のここが面白い

目標は「温泉」の「ディズニー」越え

阿智村にとって、昼神温泉の活性化は大きな課題だった。

そこで阿智村役場により、地域活性化コンサルタント「二階堂剛」が招かれた。

開催された発起会で二階堂は、

「観光客は温泉に癒しを求めている。これが原点です」 

と語り、これから昼神温泉の癒しを全国各地にアピールして集客していく事を宣言した。

しかしこの発起会に代理として出席していた竜宮亭の新人、諸星明は疑問を投げかける。

「っていうか、やっぱりディズニー越えしなきゃダメなんじゃないんですか?」

「これまでの観光」と「新しい観光」の違い

これまでの観光は単に「休みに旅行に行きたい」や、とりあえずどこかに行きたいなどシンプルなものだった。

時代は変わり、人々の要求基準が高くなった現在ではそれだけでは通用しない。

温泉だから「癒されたなあ」ではなく、「すごかった」「感動した」などの感動体験を作っていく。

地域発展の為には、大衆向けのテーマパークなどを作っても「ディズニー」には勝てない。

それよりは、地域ならではの強みを発掘していき、個人に刺さるような価値を創っていく事が重要である。

変革を起こしていくための方法と順番

  • 1 危機意識を高める
  • 2 変革推進のための連携チームを築く
  • 3 ビジョンと戦略を生み出す
  • 4 変革のためのビジョンを周知徹底する
  • 5 従業員の自発を促す
  • 6 短期的成果を実現する
  • 7 成果を活かして、さらなる改革を推進する
  • 8 新しい方法を企業文化に定着させる

昼神温泉の変革は、この8つのプロセスに沿って進められていく。

まずは、危機意識を共有した少人数でチームを作り、そのチームの中で「ディズニーを超える」というビジョンを具体化する戦略を考える。

そして、「ディズニーを超える」というビジョンを周知徹底させていき、従業員の自発を促した。

この理論はジョン・コッターという経営学者が提唱した説であり、実際にこの説を使って変革が行われていくという物語も見どころの一つである。

まとめ

今回は、「そうだ、星を売ろう」を紹介した。

長野県の阿智村で実際に起きた実話に基づくビジネス物語であり、過去の観光地が、現在に適応した観光地へと町ぐるみで変化していく様が描かれている。

数々の企業変革の理論を用いて、これ1冊でビジネス理論を網羅できる良書である。

地方活性化、企業改革などに興味がある人には面白い内容になっている。